劣等感投射とは?


(劣等感的投射の説明)

他人怖がりに悩んでいる時に、顔が赤くなったり、手が震えたりといった症状が起こった時に、人がこれを見て変に思っているとか、自分を避けていると感じてしまうことが多いものです。

また、自分の汗の多さや体臭のために周りの人が嫌がり、離れていったり、鼻をつまんだりするように見えてしまうことも多いものなのです。

実際には、けっして変に思われたり、避けられている訳ではないのですが、他人怖がりに悩み劣等感を強くしている時は、どうしても変に思われたり、避けられていると感じてしまうものなのです。

そして、このようになるのが森田療法で言っている「劣等感的投射」ということになるのです。

これはちょうど「黄色の色眼鏡」をかけている時に、白い物も黄色に見えてしまうのと似ていると思います。

つまり、けっして気のせいではなく実際に見えてしまうのですが、これは「劣等感という色の色眼鏡」をかけているからだと言えるのです。

鬱病や統合失調症の場合に、いわゆる妄想という症状が起こりますが、これと「劣等感的投射」は非常に良く似ていると思います。

つまり、妄想や被害妄想の場合も、自分のことを周りの人が白い目で見ているとか、嫌がられていると感じてしまうものなのです。

そして、このために、外で自分の悪口を言っていると感じたり、嫌がらせをされていると感じてしまうことが多いものなのです。

しかし、こういう妄想と「劣等感的投射」から来る関係念慮は質的には似ているのですが、量的な面で、あきらかな差があるものなのです。

つまり、妄想の場合は、絶対に間違いないと本人が信じ切っていることが多いものなのです。

これに対して「劣等感的投射」から来る関係念慮の場合は、避けられているように感じるけれど、もしかしたら違うかもしれないと、確信は持てないでいるものなのです。

この点が一番大きな差であり、また、見極めのポイントになるのではないかと思います。



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